Kiss Me

こいつ・・・こんなに女だったか?


久しぶりにあった幼馴染の望美をチラッと横目で見る将臣の視線は望美の首筋に釘付けになっている



今日みたいに暑い日は体力の消耗も早く
流石に限界がきた望美を見かね休憩を申し出た将臣


へろへろになっている望美を引きずるように木陰に連れて来たまでは良いが・・・



「・・・やばい」
口に出すつもりはなかったが自然に声になっていた

「うん・・・やばい・・・」


「あぁ?何がやばいんだ?」
こいつ何言ってるんだと言わんばかりに問う将臣



「この暑さやばいって・・・」
「ああ・・・それか・・・」



「将臣君は何がやばいのよ」


言えるかバカ


「お前と同じ」
「そっか」




「・・・・・」
しばしの沈黙





「嘘」
ポツリとそう呟いた望美を振り向くと望美は体育座りで顔を伏せている



「何が可笑しいんだ?」
暑さのせいで可笑しくなったか?こいつ・・・
不安が襲う将臣




「アレ・・・」

望美の指差した場所を見ると八葉達は上半身裸でくつろいでいる
もちろん女性である朔は別の木陰で扇子で顔を隠しているのだが






「・・・・確かにヤバイな」
「うん・・・鼻血」




「・・・・アホか」
「ゴメン・・・暑さのせい」





「ハハハッ。全くお前らしいな」
「・・・褒めた?」



未だに顔を伏せている望美は多分恥ずかしさで真っ赤なのだろう
それを隠そうとしているその姿は可愛くて将臣の悪戯心に火をつけた





「俺がココで脱いだらどうする?」
「兄さん・・・それだけは止めて欲しい」



「何でだ?」
将臣はニヤニヤ笑いながら既に準備に取り掛かっている




「・・・・襲っちゃうよ?」


「誰が?」



「私が」


饒舌すぎる望美
こいつ俺の事意識していないのか?
そう思って望美を見ると耳まで真っ赤になっていた





まいったな・・・
可愛いな

将臣は自分を抑えきれずに
望美の首筋に張りついていた髪を指に取る



「やっ・・・」
突然の事で驚いた望美が顔を上げると確りと絡み合った二人の視線





「な・・・なによ・・・」


「何がだ?」



「なんで引っ付いてくるのよ」

「何で逃げるんだよ」


「将臣君が必要以上に引っ付いてくるからでしょ!!」



「出来ないだろ?」


「な・・・・何がよッ!!」



「キス」



「真顔で言うな!!」



じりじりと後退していた望美も大きな木に行く手を阻まれそれ以上動けなくなった



「どうする?望美」


「今日は止めて?」


「無理だろ。そんな可愛く言われたら男は止まらないしな」



「じゃあヤメロ!!」



「可愛くないけど、それもある意味可愛いな。惚れた弱みだな」




「えっ?」




「何驚いてるんだ?」

「惚れてるの?」




流石の将臣もこれには呆れた
と、言うより好きでもない女にキスをする男に思われたかと思うと愕然とした



「お前さ・・・気づけよ」





そう言った将臣は望美を引き寄せると首筋に唇をおし付けた



「っ・・・やっ」

チュッと音を立てて首筋にキスをした将臣は満足そうに顔をあげた



「・・・な・・・なっ」


「虫除け」



「・・・エロ」




「でも好きなんだろ?」




「何でわかるのよ・・・」





「お前と一緒にするな」

そう言った将臣は今度は唇にキスをひとつ




突然変わった二人の関係




それは偶然が呼び起こした真夏の出来事だった