闇に潜む

ガサッ・・・

微かに聞こえるその音


微かに感じる人の気配



「誰・・・?」
望美は恐る恐る閉じた扉をスぅーと開ける




「キャッ・・・・んっ・・・」
「静かにして下さい」





「べ・・・弁慶さん?」
「すいません・・・驚きましたよね」





「あ・・・当たり前です!!こんな時間に何をしてるんですか?」

「ふふっ・・・」




「何が可笑しいんですか!!」


真っ赤になって怒りを隠そうとしない望美を見て弁慶は笑いを堪える事が出来ない



こんな時間・・・


男が女の部屋を訪れる・・・



君はその意味さえもわかっていない




純情なのか・・・



それとも・・・



僕を男として見ていないのか







「君は僕をどう思いますか?」


「えっ?」


「君から見た僕はどんな風に映っているのでしょうね」




「弁慶さんは弁慶さんです」




真っ直ぐな君
僕の視線を逸らすことなくしっかりと答える君





その意味は・・・僕には理解出来ません



「僕は、君を見ると愛しい気持ちが溢れてくる・・・そして・・・・」



「やっ・・・」
いきなり塞がれた唇


無理矢理進入してきた舌


弁慶は望美の口内を十分に犯すと唇を重ねたまま低くきしんだ声で囁く



「君を泣かせたくなるのです・・・」




夜の闇に紛れて



君を愛しましょう





月のないこの闇の中



君の涙が枯れるまで君を・・・





君の全てを奪いましょう




弁慶は震える体をきつく抱きしめると又・・・くちづけた


「これが・・・僕です。覚えていて下さいね」




そう言った弁慶の顔は月のない闇夜のように黒く陰っていた