司馬仲達ss



2005-07-01


馬鹿めがぁ!!!



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A Moveable Feast
 
菊奈が司馬懿の元で女官として働くようになって一月が過ぎた
毎日のように
「馬鹿めが!!」
「お前には進歩が見られない・・・」


「こんな役立たずを私によこすとは子桓様も何を考えているのだ・・・」
などと言われ続けた菊奈は今では魏一の女官であり
そして曹操の大のお気に入りの女官となっていた


「のぅ仲達・・・菊奈を儂にくれんか?」

「・・・・・なんの冗談でしょう?」



「ん?儂はな、いつもお前に怒られている菊奈を見ると不憫でな・・・それならば儂の女官として側に置いておこうと思ってな」



冷静な顔を崩さない司馬懿を挑発するかのように曹操は続ける
「それに女としても捨て置けぬしな」


「殿・・・私をからかって楽しいか?」

「何もからかってなどないわ。お前が菊奈を邪険に扱っているから儂が大切にしてやろうと思っただけだ」


「孟徳それ位にしておけ・・・司馬懿の顔色が悪いぞ」


「そうか?」

ニヤニヤと笑いながら司馬懿を見遣る曹操と夏候惇に痺れをきらした司馬懿は大声で菊奈の名を呼んだ


「菊奈早急に私の元へ来い!!」


「はい!!」

突然の司馬懿の呼び出しに女官仲間とお茶をしていた菊奈はゴホッと咳き込みながら三人の前に姿を現した



「お呼びでいらっしゃいますか?」
「馬鹿めがぁ!!用があるから呼んだのだ。それ位もわからんのか!!」

「も・・・・申し訳ありません」
深々と頭を下げる菊奈


「よいよい。頭をあげろ」
「し・・・しかし・・・」



「良いと言っとるだろう」

夏候惇と曹操が二人でそう告げるとおずおずと顔を上げる菊奈

それは思わぬ色を出していた
突然の呼び立てに慌てた菊奈は息を切らしながら駆け込み
そして走った事が原因で頬を薄っすらと染め


見上げるように三人を見つめる菊奈の顔はまるで誘っているかのように見える



曹操が立ち上がろうとすると夏候惇の手が遮る

「お前は立つな」


「・・・・邪魔立てするな」



「煩い・・・菊奈に近寄るとお前とて容赦しないぞ」


「お前・・・」


二人が言い争いをしている間
司馬懿はオウムのように「馬鹿めが・・・」と繰り返していた



「司馬懿様。ご用件は?」



「・・・・嫁になれ」



「はい?・・・今なんと仰いました?」
「何度も言わせるな馬鹿めが!!」



「・・・・えっと・・・覚えが悪いのでもう一度言っていただけると助かるのですが?」




きょとんとした顔で司馬懿を見つめる菊奈を見て早まったと思った司馬懿だが
曹操と夏候惇が言い争う姿を見て今手を打たなければ菊奈は無事では済まない・・・
そう思い決意を新たにした



そして菊奈の顔を見る事もなくそっぽを向いた司馬懿は

「仕方ない・・・最後のチャンスをやろう」
そう言って菊奈を引き寄せ抱きしめた


「し・・・・司馬懿様?」
真っ赤になっておたおたする菊奈を見て、これは面白い
そう思った司馬懿は菊奈の耳元に口を寄せ息を吹きかける


「ひゃぁ」

「ふはははは!!」


「し・・司馬懿様?一体どうされたんですか?」



「今日からお前は私の玩具だ!!」


「えぇ?さっきは嫁って言ってたのに・・・」



「やはり聞こえていたか」



「・・・・・っ・・・」


「馬鹿めが私を陥れようとは百年早いわ」
そう言って菊奈の手を取ると部屋を後にした




取り残された曹操と夏候惇は・・・



「儂がじゃな味見して、それからお主に」
「お前の前なら考えてやる」



既に居なくなった菊奈の事で大人気ない会話を続けていた


司馬懿がチャンスなんて言う筈ないけど
まぁ・・・良しとして下さい

あの高笑い
はっきり言って大好きです