02-2
A text introduction
防御&防御  


その日のヒノエはとにかく忙しかった
舐めるような視線で望美を見入る弁慶を威嚇しながら
そして自分自身に歯止めをかけ・・・そして
出来るだけ触れることなく望美の側にいる



それがヒノエにとってどんなに大変なことか・・・
望美がわかっていないだけにヒノエは頭を抱える事になる





短いスカートは単純に楽しむだけなら十分な目の保養
だが戦闘中に掛け声と共に敵に突撃する望美は自分の姿がどんなに無防備で・・・どんなに男心をそそるのか





全くわかっていないだけに注意すると言っても何を言って注意すれば良いかわからないヒノエは・・・




「先輩!!いい加減にしてください!!」と怒鳴る譲の声に「良く言った」とエールを送りたい気分になった。





だが望美は『何をいい加減にすればいいのか?』理解できず



「譲君。戦闘中だよ集中して!!」年下の彼を逆に注意した






そんな望美を見て弁慶はクスクス笑い
事の発端だろう朔はヒノエをじっと見つめて・・・
その視線は『良いの?』と言っているようにも見えるが多分楽しんでいるだけだろう・・・と思うヒノエは既にこの戦いに負けを認めたも同じ





そう思ったヒノエは残っている理性と勇気の全てを出し
ゆっくりと望美の側に歩み寄り「望美・・・たのむからジッとしていてくれないか?」と望美の耳元に囁いた





いつもなら耳元で囁かれたら真っ赤になり「何するのーーー?!」と叫ぶ望美だが衣装も大胆なら今日の望美は「何で?」とヒノエを見つめて問いかけた





何でと聞かれても・・・とヒノエは思うが『それ以上他の男に見せるな』と言えないヒノエも・・・・今日はどこかおかしいのか?






それとも朔マジックにかかってしまったのか・・・?
それとも単純に望美の魅力に骨抜きになったのか?



それは誰にもわからないが・・・余りにも気難しい顔をして悩むヒノエを心配した望美は昨夜朔にしたように・・・




意識したわけではないがヒノエを上目遣いで見つめながら
小さな手をスッとあげヒノエの頬にふれ


「今日のヒノエ君おかしいよ?」と首を傾げた






「・・・・・・・・お・・・・お・・・まえ・・・」




「ん?なーに?」




第二段は首を傾げたまま少し甘えた口調で返事をし・・・





とうとうヒノエは何も言えずに項垂れて・・・・






「・・・・・・・・・・・計算か?」と小さく呟いたが
何の事かわからない望美は・・・・頬にふれていた手でヒノエの顔を上げ




「熱でもあるのかな?」と言ったかと思うとヒノエの額と自分の額をペタッと合わせ・・・・「んー熱はないかな・・・?」とヒノエの顔を再び見つめた







「の・・・・望美?誘っているのかい?」




「へっ?」




弁慶はヒノエを見て苦笑いする




弁慶の心中は良く今まで持ちましたね・・・だが
気分は良くない





望美は突然変貌したヒノエに冷や汗をかきながら



「い・・・一体ど・・・・どうしたの?」と・・・ずりずり寄って来るヒノエから逃げながら誰か助けてくれと皆に助けを求めているが・・・




八葉といえ男でありヒノエの気持ちは良く分かるので今回は目をつぶる事にした












「裏切り者ーーーーー」
叫び声が聞こえる中・・・ヒノエは望美を追い詰めて・・・
さぁくちづけでも・・・・と思って望美の顔を見つめたが





計算外の事が待ち受けていた





連続で攻撃を受けたヒノエに気持ちの余裕などない





「あきらめな姫君。お前が悪いんだぜ?」



「何もしてないよ・・・こんな所でやめてよ」

じたばたと暴れる望美を腕の中に閉じ込めて望美を見つめたその時・・・







ヒノエは大打撃を受ける事になった






潤んだ瞳でヒノエをじっと見つめる望美
小さく震えた体





「やべっ・・・・」






「・・・・うっ・・・・ひっ・・・ひっく・・・・」






突然泣き出した望美にヒノエは呆然となる




「お・・・おい・・・望美。泣くなって」




「だって・・・・ヒノエ君が・・」





「くちづけ位いいだろ?」




「位って・・・酷い・・・・」



望美はヒノエのくちづけ位の言葉の意味を勘違いしヒノエの腕の中で再び暴れだした。



「っイテッ・・・ちがうっ望美。聞きなよ」




「やだっヒノエ君なんて大嫌い」









そう叫んだ望美はヒノエの腕からすり抜けて
対である朔の側に駆け寄り


そして朔は「可哀想にね」と言いながら望美を優しく慰めていた









朝から望美の攻撃を防御する事も出来ず
ぼろぼろになったヒノエに待ち受けていたものは望美の「大嫌い」





流石に気の毒になった弁慶はヒノエに慰めの言葉をと思い側に行く



そこには暗い顔をして拳を握り締め「あの女・・・・」と朔を睨みつけるヒノエの姿
が・・・






「まだまだ望美は渡しませんわよ」と言わんばかりの余裕の表情で天地朱雀を見つめる朔に・・・弁慶は聞こえないように「本当に怖い方ですね・・・」と呟いたが・・・・





「ふふっ」と笑った朔を見て「戦略を練る必要があるね」とヒノエが呟く
別に同意を求められたわけではないが・・・
弁慶の口からは自然と「そうですね」と応じる声が響き・・・







ここで朔&望美vs弁慶&ヒノエの戦いが始まったのかもしれない