「神子。起きて?朝だよ」
「う・・・・動かさないで・・・・」
「神子?どうしたの顔色が悪い」
ふ・・・・・これが二日酔い・・・
「何でもないよ」
一応は白龍に心配かけないために笑顔を作ったが・・・
顔の神経を動かすだけで恐ろしく痛む頭に再び顔をしかめ
「ダメ・・・・今日は無理・・・・」望美は布団に潜り込んだ
「神子!!神子?」
「お・・・大声・・・は勘弁してぇ・・・・」と蚊の鳴くような声で訴えたが白龍は聞きもせずに部屋を飛び出し
「どうしたんですか?」
苦手な弁慶を連れてきた
「な・・・・何でもないです・・・」
「そうは見えませんけどね」と言いながらも笑っている弁慶には全てお見通しなのだろう。
昨夜は調子にのって男たちの飲み会に参加した望美
この時代に飲みと言う表現をするのかは別にして
口にした酒が思ったより甘く
飲みやすかったが為に起こった惨劇
「寝てれば・・・大丈夫です」
「薬ありますよ。二日酔いの」
「意地悪ですよね。弁慶さん」
「おや・・・酷いですね。君を心配しているからこそですよ」と笑う弁慶の背後からは・・・・
「二日酔いには迎え酒かな?」と余裕の顔で入ってきたヒノエは湯飲みに酒を注いで望美の前に差し出した
「うっ・・・・・まじ・・・ダメっぽい」
真っ青になった望美は二人の男と小さな白龍に手でアッチイケと合図し、苦笑いした二人と心配そうに見つめる白龍は
「行こうぜ姫君はご機嫌も悪いらしい」と言ったヒノエに
「でも・・・神子が心配だから」と呟く白龍に弁慶が「何もしないのが薬ですよ」と言い「汗を流すのも薬ですけど・・・今は無理でしょうね」と白龍の背を押しながら部屋を後にした
嫌な男達だ・・・
二人とも性格が悪すぎると考えながらも衰弱した身体は睡眠を欲し
いつの間にか寝入っていた望美を起こしたのは懐かしい手と声だった
「んっ・・・・」
「おっ。初体験か?」と笑う顔は・・・
「将臣君。いつ来たの?」
「昼過ぎかな?調子はどうだ?」と望美を気遣う将臣に
やっぱり幼馴染は良いなーと思いつつ頭を上げたが
「っ・・・・・ッタアッ・・・」
「なんだ。まだ痛むのか?」
「吐き気は治まったけど・・・私お酒は向いてないわ」と弱々しく微笑む望美にスッと差し出されたものは弁慶の調合した薬だった
「やっ・・・・」
「飲め」
「やだ」
「何でだ?」
「苦いから。弁慶さんの作った薬怪しいから」と、言う望美に将臣は「後の方は何となく・・・だがな」と望美の意見に同意してくれたが・・・
「んっ・・・・んんっ」
「ぅうっ・・・うっ」
「いいから黙って呑み込め」
そう言われた望美は涙をため・・・
ゴクッ・・・・・と口の中のものを飲み込んだ
「よし。後はゆっくり休め」と望美の頭を撫で豪快に笑った
「ニガッ・・・・ってか私のファーストキスーーーー?!」
「何だ。まだだったのか?」
「うっ煩い。かえせぇ」とタダをこねる望美のでこに「ったぁ・・・」
でこピンだった
今度は額をさすりながら将臣を睨んだ望美だが
「心配するな。俺が二日酔いになったらお前に頼むさ」と言われ
「なっ・・・何それ?」と真っ赤になって反論しようとした望美だが既に勝ち目はない・・・・のが現実であった