01-1
A text introduction
ヒノエ★前半は朔と望美
バカ・・・バカ




女好き・・・エロ




結局ヒノエ君は女なんて誰でも良いんだよね
その日偶然目にした光景は望美の胸に小さな変化を齎した



「ヒノエ様は私の事は忘れてしまったのですか?」
「姫君を忘れるわけないだろ?」




「なら・・・どうして私とお会いして下さらないの?」




「我侭なお姫様のご機嫌伺いや職務が大変なんだ。わかってくれよ可愛い姫君」
そう言ったヒノエは女性の手に優しく口付けるとふっと笑みを見せた




ああ・・・そうかぁ
多分・・・我侭な姫君って私の事なんだよね




そうなんだ・・・迷惑かけてるんだ
望美は完全に誤解をしていた




ヒノエから見る望美は我侭からは程遠い存在であり

もしも望美が我侭を言ったとしても
例え其れが命を懸けるほどに大変だったとしても
否とは言わない


それ位望美に夢中なのだ





ヒノエが寄って来る女を適当にあしらう為に告げた言葉を裏をかいて読み取るほど望美は男と女の馴れ合いに通じてはいないし



二人のやり取りを見て面倒で適当な事を言って機嫌取りをしつつ女を遠ざけようと企てているとは考えもしなかった






考えるつもりが無くとも自然と頭に浮かぶのは昼間目にした光景で望美は眠れず月の満ちた庭へ出る。



「望美?」



「あっ・・・朔?」




「うん・・・眠れなくて」



朔は望美の隣に立つと優しく微笑んで「何かあった?」そう問う




言うつもりは無かった
だけど悔しさから溢れた涙で全ては朔の手に握られる




「ヒノエ殿かしら?」



「・・・・う・・・ん」




「ケンカしたの?今日は来なかったし」





「女の人と居たから・・・」




「まさか?」


朔には考えられなかった
ヒノエが望美以外の女と行動をする事を



以前のヒノエなら当たり前の事かもしれないが噂どおりの男なら
それが真実なのかもしれないが
朔から見たヒノエは望美を大切に思い


そして望美に好意を抱いている事を隠しもせず
側に寄ってくる男達・・・それが仲間である八葉であろうとも視線だけで殺そうとしているのでは?
と、思えるくらいに望美への思いを隠していなかった







「だって・・・今日ね・・・」
望美はゆっくりと語りだした
昼間あった事を悔しさを隠しながら・・・時折唇を噛み締めながら
朔へ全てを話した





話し終えた望美は幾らかスッキリしたのだろう
微笑んで「でも、もう良いの」と朔に言う




朔の心境といえば・・・「鈍すぎる・・・ヒノエ殿が哀れ・・・」だった








それでも朔は望美の対
そして可愛い妹のような存在である望美を手助けしたいと思うのは
それは女としての気持ち






「あのね望美」



朔は望美にとんでもない奇策を預けた





「む・・・むっ・・・・無理・・・絶対無理!!」



何を言ったのか望美は朔の案を聞くと顔を真っ赤にしながら後ずさる
まるで突然目の前に怨霊でも現れたかのような驚きよう





「大丈夫よ」



「ど・・・どこからそんな自信が・・・?」



「だって望美は可愛いし、それに私が大丈夫って言ってるんだから絶対大丈夫よ」






「な・・・なら朔が試してから・・・」




朔は望美の慌てように笑いながらも「私がしても意味はないし、ヒノエ殿も喜ばないわ」





「大丈夫!!朔は綺麗だし色気たっぷりだから」


「ふふっ褒めてもらってると思うことにするわ。でも、これは貴方の仕事よ」



日ごろは穏やかだが一度スイッチの入ったこんな時の朔に望美が敵う訳もなく
結局は望美も朔の思うがまま







朔はこう言った

「嫉妬したんなら逆に嫉妬させなさい。そしてドキドキさせて慌てさせれば良いのよ」






そうして夜は更けていく
明日は休み




何時ものように「おはよう姫君」そう言ってヒノエは現れるのだろうか?






「ふふっ明日が楽しみね」
そう言って微笑んだ朔の顔は某策士・・・○○より腹黒い顔をしていた