運命?
A text introduction
優しい知盛



「運命だと思う?



そう聞いたら貴方は笑うよね
だって私だって運命なんて信じてない




でも・・・私達は確かにあの時




存在していた



あの源平の戦いの中
敵も味方も入り乱れた戦いの中・・・




私達は・・・源氏と平家として敵対していた




刀を交えるたびに貴方を近くに感じていた私は今だから言える





貴方の言うように・・・戦いの中に身を置いて楽しんでいたんだと



同類だとも思わない
血に飢えた女だとも思わない



戦いが楽しかったわけでもない




ただ・・・知盛・・・あなたと一瞬でもいいから同じ時を感じていたかったんだと





そう思うの





だから・・・今ある幸せは大切にしたい




私の手にはもう剣はない




代わりに貴方の手が私を包み込む






「やっぱり・・・運命なのかな・・・?」




「何ぶつぶつ言ってるんだ?」



「うわっ!!・・・居たの?」


「今帰ってきた」






「ご飯は?」


望美がそう聞くと知盛はニヤッと笑って望美を引き寄せた



「っ・・・なにっ?」




驚いた望美が目を丸くして知盛を見上げると知盛はくくっと笑って


「新婚は・・・ご飯にする?お風呂にする?わた・・・」
その言葉は最後まで言えなかった
赤面した望美の拳が知盛の顔面を攻撃したから





「お前・・・女だろぅ」



「アンタがバカばかり言うからだよ!!」




「くくっ・・・やっぱり、お前は良い女だな」


「変な奴だよね・・・殴られて喜ぶなんて知盛ってマゾ?」




この言葉には苦虫を噛んだ知盛
でも、真っ赤に染まった望美の顔を見ると微笑んで・・・
そして唇を重ねた




「俺は、運命だと思うぜ」




「・・・バカ」






こんな貴方が好き




意地悪で・・・ぶっきらぼうで



俺様な貴方だけど




口にする言葉も決して優しくはない




でも・・・その一言一言が私の本当に欲しい言葉だから・・・







運命だと思う?





「やっぱり・・・私達が会ったのは運命だよね」
そう言った望美は優しく知盛の体を抱きしめた