今日も又・・・
望美は自分の姿を見てため息をつく
いつの間にか自分の服は朔に隠されて・・・手元に残った衣装は
やたら丈の短いスカートに胸元の大きく開いた衣装・・・
そして当然のような顔をして毎朝恒例になった薄化粧を施しに来る朔は
今では望美の頭痛の種であった
だが望美以上に頭を痛めているのは・・・
ヒノエと弁慶で・・・そして
その二人の矛先は・・・朔の兄である影時だった
「おはよう望美」
「おはよう」
「今日の紅はとても素敵なのよ」
そう言って笑顔を見せる朔にため息をつきそうになるが
朔は優しさからしている事であって別に意地悪をしているわけでもないし
もし自分が普通の高校生だったら
友人達と化粧の話をしたり
彼氏の話をしたりしているかもしれない・・・と考えると
今のこの状況も望美には楽しいもので
「本当?どんな色?」と朔の手にしている紅に視線を移すと
朔は嬉しそうに微笑んで
「ほら素敵でしょ」と薄い桜色の紅を望美に見せた
その紅を指にとって望美の唇にのせると朔は「可愛いわ」
そう言って満足そうに笑い
そんな笑顔を目にすれば望美も嬉しくなり
「ありがとう」と朔に微笑みかける
「ところで今日はコレを着て」
そう言って朔の手にした衣装を見ると・・・
それは今望美が持っているスカートより少しだけ長いが
長いスリットが入っており歩くたびに下着のラインぎりぎりまで望美の足が見える仕組みになっていて
「・・・・これっ・・・・無理・・・」
どもりながら赤面しながら望美は朔にそう訴えたが
「大丈夫よ。見えるわけじゃないでしょ?」
と・・・言いのけた
「見えるってば」
「見えないわよ」
「絶対見えるっ!!」
二人は朝から大声を出しあい・・・その声を聞いた白龍が
「どうしたの?」と部屋を覗き込むと・・・
朔は「この衣装可愛いでしょう?」と望美を白龍の前に立たせ
その姿を見た白龍は「うん。凄く可愛いね」
と・・・明るく答え
そう言われれば望美も何となく嬉しくて「なら・・・大丈夫かな」
と・・・結局は朔の思い通りに事が運ばれる
「おはよございます」
何時ものように梶原低に現れた弁慶は挨拶をした後・・・
一瞬固まる事になる
「あっ。おはようございます弁慶さん」
そう言って望美が近寄って来ると・・・歩くたびに
ちらちらと見える素足が・・・見てはいけない・・・と思いながらも
男の性と言うか何と言うか・・・
とにかく見たいものは見たい!!であり
自然と下がっていく視線は今にも下着が見えるのでは?
と・・・男心を擽り
遠くからチラチラと望美を盗み見ている譲や景時、敦盛を見れば
その攻撃を受けたのは弁慶だけではないのが何となくわかってしまう
「どうしたんですか?弁慶さん」
「いえ・・・何でもありませんよ。今日も可愛らしいですね」
そう言って微笑んだ弁慶の顔は何時もと違い不思議と視線が泳いでいるようにも見えるが・・・
別に何でもないよね。
と・・・考える望美は前向きで明るい性格?と言うべきか・・・
ただ単に鈍いと言うべきか・・・
とにかく・・・可哀想なのは
今から現れるヒノエであって昨夜は嫉妬したものの
男として叔父としてヒノエが可愛いのも事実であり
何とかヒノエが深い打撃を受けないようにしなくては・・・と策を練ろうとする弁慶は実はとても良い人なのかもしれなかった
「その衣装は?」
「朔が用意してくれたんです。やっぱり似合いませんか?」
不安そうに弁慶を見つめる望美を見て
似合わないから着替えてきた方が良いですよ・・・とは言えず
優しく微笑んで「よく似合いますよ」と言った弁慶に罪はない
そう言われれば望美も嬉しいと思うのが当たり前で
「本当ですか?良かったー実は少し心配だったの」
そう言ってペロッと舌を出した望美はあどけないが何となく・・・
身につけている衣装のせいか?
やけに色っぽく・・・弁慶は
ヒノエの存在がなければ・・・と考えてしまう自分自身に
胸の中で「悪い癖・・・ですね・・・」と言い聞かせていた