曹操とオリキャラ葵亜
A text introduction
戸惑う葵亜と強引な曹操様(夏侯惇と出来てるヒロイン)過去は呂布の女


死なせるな・・・・


これは痛い



痛かった・・・・



現に呂布を守りきれなかった葵亜には辛く、悲しい現実で
呂布と共に小さな命も守りきれなかった自分に




生きる価値などないと・・・
このまま舌を噛み切って命を絶ちたいとも思っていた時期もあった






生きて償う・・・



死んだ者の分も幸せになれ
死んだ者の分もお前が苦労と苦悩を味わえ



お前が死んで誰が喜ぶ呂布とて其れは望んではいないだろう



そう夏候惇に言われ今あるこの時を葵亜は苦い思いもあるものの
楽しんではいないものの



今現に過ごしているのは確かで
本来なら死んでいるはずの自分の存在が此処にあるのも全ては夏候惇のおかげなのだと・・・・わかっているだけに曹操の「これでは元譲も死なせるぞ・・・」




これは辛い一言だった






「・・・・・申し訳ありません・・・」
他に何も言えなかった




ただ今にも倒れそうなほどに緊張している体を保つことに必死で
せめて・・・逃げ出すような醜態はさらしたくない




それだけが今の葵亜を支えていた




「来い」



「曹操様?」



これが曹操?
今は魏に捕らわれている身だとしても以前は命を狙っていた自分に簡単に背を見せ先を歩く曹操に苦笑いし



「・・・・おかしな方ですね・・・」



口にした其れが曹操を振り向かせたが「お前ごときに命をとられる儂ではないわ」とあっさりと言われた




思ったより小柄で人当たりの良さそうな人物に見えたが
その威厳は何も語らずしても葵亜にはわかった



威圧されるのではないか?



思わず頭を垂れてしまいたくなるほどの資質は王者の貫禄で


曹操が天下を取るのは天命だと語られているだけある



こんな男が率いる魏を相手にしていたのか・・・と自分たちの無謀さと
今自分の置かれている立場に再び苦笑いした葵亜を曹操は振り返ることなく




「満足したか?」と言い




何故自分の考えていることがわかるのだ?と顔を歪めると




「・・・・単純すぎるぞ。よく今まで命があったものだ」と呆れたように笑う曹操がいた









「私をからかって楽しいですか?」




「元譲よりはな」




まだ肩を震わせている曹操に何を言っても敵わないだろうと諦めかけた時



懐かしい音を耳にした






曹操の後を黙ってついてきた葵亜の目の前にあるのは




鍛錬場で・・・・「・・・・私は・・・」





「怖いか?戦場で見たお前は儂でも惚れ惚れしたぞ」といつの間にか葵亜の正面に立っていた曹操に見据えられ



思わず目を逸らしてしまった自分に情けなさを感じたが




震える体はまだ無理だと・・・





血に染まり崩れていく体で葵亜の体を包み込み敵の矢から葵亜を守り



赤子の命・・・・頼んだぞ



そういい残してこの世を去った呂布の姿が未だ消え去らないが故



葵亜の手は剣を握ることを拒んでいた






「葵亜殿」



懐かしい声・・・・



「張遼殿・・・」



「もう出歩かれても大丈夫か?」



「何、心配する程ではないぞ。そうであろう?葵亜」






「何故・・・あなた様が答えるのですか・・・」






「無礼な娘ですな・・・」



「司馬懿か。気にするな、こやつはこれが持ち味らしい」と・・・
何故か嬉しそうに笑う曹操に不思議と毒気を抜かれた





「気が済みました・・・か?」





「ある程度は・・・な。だが、本来の姿は見せてはおらぬだろう?」






「曹操様は本当に可笑しな方ですね」
そう言って笑った葵亜を突然引き寄せた力強い腕は




もちろん夏候惇で




曹操を見据え、威嚇し



「お前の勝手で葵亜を連れ回すな」と牙をむく姿に皆は驚き





曹操は満足げに二人の姿を見、「元譲。儂は葵亜が気に入ったぞ」と笑顔で言い



普段の曹操とは結びつかない笑みにその場に居た者は皆、不安を隠せなかったのだ