10 // 決心

頬を染める尚香に笑みを作る事さえ難しい



蜀に行けば劉備の妻として幸せになれるだろう
でも・・・・それは一時期のもの





尚香と劉備の婚姻は幸せそうに見えるが実際は政略結婚
そして・・・

いずれ両国は戦う


そんな中で傷つき涙する尚香の姿が頭を過ぎる


「何時行くの?」


「まだ婚礼の儀は先。とりあえず劉備様が見える予定なの」


「そうなんだ。・・・・・私も行こうかな」


「えっ?誰に嫁ぐの?」



・・・・・尚香の突飛過ぎる勘違いに思わず頬が緩む



「バカね。尚香のお付として蜀に行こうかな。と、思っただけ」


「ホント・・・・ホントなの?」


キラキラとした笑顔で尚香が問う


その姿を見て寂しかったんだな。と、実感した
当然だろう

深い絆で結ばれている家族から離れて蜀に行く事は尚香にとって辛い事




何かあったとしても泣きつく先もない
言わば・・・・今の望美の立場と同じ




「尚香がよければ一緒に行きたいな」


でも・・・・・・蜀の軍師は喜ばないだろう
そんな感じがした



蜀が受け入れてくれないだろう・・・・そう思った


だが尚香は、よほど嬉しかったのか


「父様の所に行きましょう。あなたも準備しなくちゃね」と望美の手をり駆け出したのだ