11 // 反対

「駄目だ」


それは孫堅でもなく孫策でもなく周瑜だった
その発言に驚いたのは望美だけでなく皆同じ


尚香が「どうして」と食って掛かる


「どこの誰ともわからぬ輩を姫君の元に置くわけにはいかぬ」



それが周瑜の答えだった


「何よそれ・・・こんな時だけ姫とか言って。それに私のためのような事言ってるけど・・・周瑜は望美を自分の手元に置いておきたいから適当な事言ってるんでしょ!!」



仲のよい二人が喧嘩をするのは避けたかった


望美は冷静になろうと努力し、そして
「尚香・・・・良いの。」と・・・・笑みを作る



孫堅は興味深げに周瑜を見ていた
今まで


孫堅や孫策、孫権と国の柱である三人を前に誰よりも先に発言する周瑜を見た事がなかったから






「望美殿はいかがしたい」


落ち着いた低音の声が響く



望美は自由になりたい
帰りたい・・・・そう心の中で囁いた
だが其れは叶わぬ夢



「出来れば一人で考えたいです」




「そうか。なら俺と茶でも飲まんか」
「はっ?」



「はははっ。そう驚くな俺もお前と過ごしてみたくてな」

「しかし私は一人になりたいと・・・・」


「俺は静かなもんだぞ。考えたいだけ考えれば良い」


そう言って笑う男に望美はムッとした顔を隠せなかった


「出来るではないか」


「何をですか・・・・」


孫堅は「いつも仮面で覆った顔のようだからな」と微笑む



「望美を苛めないでよ・・・・」
歯を食いしばり尚香がそう言うと孫堅は


「俺のように無害な男はいないぞ」とにやりと笑った





気がぬけた


今まで必死に自分を隠していた
バカみたいだと感じた


ここがどこであろうと私は私
好きに生きれば良いのだ。そう感じた



「良いですよ。お茶飲みましょう」と望美が応じる






「そうか」と孫堅


「でも誘ったのは孫堅様ですから・・・・孫堅様が用意して下さいね」と不敵に笑い



望美は君主孫堅に威嚇射撃をしたのだった