14 // 嘘つき

とんでもないオヤジだ
何が静かなもんだ


孫堅の言葉に踊らされた望美はお前がそう言うなら完全無視方向で考え事をしようそう考えていた
だが・・・・


「酷いな俺を無視するとは」
「ムッとした顔が可愛らしい」
「表情のない冷たい女かと思ったぞ」


「綺麗だな」
・・・・・と、次から次へと言葉を紡ぎだす


「口から先に生まれたのでしょうね」

「はははっ。いくらなんでも俺の母親でも其れは無理だろう」


「・・・・・」


「怒ったのか?いや、その顔も中々良いな」


と、煩いのだ



「・・・・・・約束が違いませんか」と言えば


「俺の言葉を信じるとはお前もまだまだだな」と豪快に笑う



敵わない
この男には何を言っても無駄なのだろう
そう理解した望美は諦め孫堅を正面から見据える



「それで何が目的ですか」


「目的・・・・か。別にないぞ」


「孫堅様・・・・」


真剣な表情の望美を見てふっと笑う孫堅にイライラを隠せない



「悪い。いやな・・・お前と話してみたかった。それだけなんだ」


「私が何者で何処から来たか知りたかった。ではありませんか」

「ん。興味はある」

「言いましょうか本当の事を」


「必要ない。お前が言いたくない事を無理して聞こうとは思わん」



「それなら何故!!」

卓を叩く音が部屋に響く

まるで敵と遭遇したかのような燃える瞳
まだ言い足りないのか唇をかみ締めふるふると震える身体


欲しい。この女が欲しいと・・・孫堅は願う


スッと立ち上がり望美の側にやってきた孫堅は望美を見下ろす。






見下ろす視線を知っている
これは威嚇でもなく・・・からかっている目でもなく



男の欲のこもった目


「・・・・・来ないで・・・・来ないで下さい・・・・」




「お前が悪い。俺を挑発するとどうなるか知る必要があるな」



そう言った孫堅は望美を抱きしめる
「やっ・・・・」



首筋に這う舌
きつく抱きしめる腕・・・・柔らかな腹部に当たる男の熱


望美は無我夢中で抵抗する



孫堅は腕の中の女で暴れる望美に男を知っているな。そう感じた



望美から溢れる女の芳香を直に感じ高まる熱は止めようがなかった

こんな・・・娘とも変わらぬ女に・・・・
だが・・・・もはや止める事など不可能だな・・・


孫堅は、そう思いながら望美の唇を激しく奪ったのだった