17 // 愛しさか慰めか・・・

小さな身体
子供みたいだ・・・・そう思っていた


凌統は何故望美が泣いているか知っていた
否・・・多分。そうだろう・・・と感じていた


本来ならするべき事ではない


何故か望美の事が気になり
孫堅に連れて行かれた望美の後を追った


偶然にも扉の隙間から見えた光景に凌統は歯軋りする



男と女がいれば何かあって当然
だが孫堅と望美のくちづけする場面は吐き気がする程嫌だった



見るな

見たくないものは見なければ良い。と・・・その場を去ろうとした時
二人の身体が離れ
血のにじんだ二人の唇が目に入った




今にも泣き叫びそうな望美の姿は凌統の心に目に焼きついてしまった



俺が・・・俺が守ってやる。そう感じてしまった
後一瞬で部屋に飛び込みそうになった


だが孫堅はあっさりと望美を開放し
望美も何もなかったかのように場を離れる


慌てて逃げ出したものの「凌統。いるのだろう」と孫堅に声をかけられ


何のお咎めが・・・と覚悟すれば


「あの娘を頼む」と一言だった



苦笑いして「俺も年だな」と言う孫堅に「何故あんな事を」と言いたかったが
其れを口にする前に・・・



孫堅は「あれは毒の華かもしれぬ」と呟いた


その顔は呉の国を統べる男の顔でなく女に溺れた男の顔のようにもみえた



だが・・・・一瞬で其れは変わる。


「凌統お前に命ずる望美を手放すな。否、この呉から出すな」そう言った君主の顔には威厳があり



凌統は「わかりました」と、頭を下げる事しか出来なかったのだ。