19 // 進歩

一歩進んだのは凌統だった


もちろん小喬、大喬、尚香は別として----



ただ望美にしてみれば凌統の存在は邪魔だった。


どこに行くにしても付いてくる凌統に冷たい目を向けても---


「護衛だっつーの」---と、笑われる。

「・・・・・しつこいなー」と、ぼやく望美にハハハと笑って「女にそんな事言われるの初めて。新鮮だねー」と言う凌統は日頃どんな生活をしていたのだろう---と、ふと考えた。



「望美」

名を呼ばれ無防備に返事を返した望美はついつい凌統を見上げ


「ん?」---と視線を合わせる。


「あっ。その顔いいねー。可愛いじゃん」


「------凌統様----軽すぎ」


「悪い悪い」と----「つーか。公績だっつーの」と額をぴんっと叩かれる



「いつっ・・・・」


思ったより激しいデコぴん
「むかつくっーー。私にもさせなさいよ」とつかみ掛った望美を片手で制し


「やめなさいって。アンタが俺に敵うわけないって」と----じゃれ合う二人を一人の男が見つめていた。





「周瑜様・・・・望美のこと気になるの?」
まだまだあどけなさを残した妻の手が優しく頬に触れる


「いや。すまない小喬」と優しく笑むがその表情は何か思いつめているようで小喬は不安だった。



それでも「望美なら----私、平気だよ」と小喬は健気に笑う



「小喬。違うのだ・・・」妻に-----最愛の女をこんなにも不安にさせ
いつも笑顔で元気のある小喬に辛い顔をさせてしまった事に周瑜は反省するが----



心は-----何故・・・・何故私ではあの笑顔を引き出せなかったのだ・・・・と思う気持ちは止める事が出来ず


「-------私もわからないのだ。お前とは違う意味で望美を欲しているだろうか」と----





今にも泣きそうな顔をしている小喬へ告げていた。