20 // 後悔・・・そして

ついつい口にしてしまった其の言葉
周瑜は小喬の顔に表れた苦悩に心を痛めた


今自分は何を言った


「小喬。私は・・・」

「えっとー。周瑜様は悪くないよ・・・」
「すまない」

「やだなー謝らないで。望美は好きだし、周瑜様も大好き。だから平気」


けらけらと笑ってみせる小喬に何時ものような笑顔はない
作られた笑顔に周瑜の心は益々痛む


だが小さな手が周瑜の眉間にそっと触れた

「だめだよ周瑜様。そんな顔したら」と----



「小喬」


「私は二人とも好きだし二人に幸せでいて欲しい。だから周瑜様が望美を好きならそれでいい。でも、望美が其れを嫌だと言うのに周瑜様が何かしようとしたら私は其れを止めるよ」


その顔は真剣だった。



子供だと-----
幼い妻だと思っていた少女は自分より大人の感情を持ち合わせている



自分は馬鹿か----
こんなにも自分を思っていてくれる女を側に置きながら何を言ったのだ。
そう後悔しても全てが遅すぎた


気づいた感情の行き先
それは嫉妬。



こんなにも愛しい存在が居ながら他の女に目がいく自分の愚かさに笑い
こんなにも自分を思う女に酷い事をと思い


それでも気づいた感情の姿に



周瑜は人知れず「馬鹿な事だ」と呟いたが



何かふっきれたのだろう



「小喬。私はお前が愛しい・・・だが、あの女は私に激情を芽生えさせるのだ」とそう伝え



「周瑜様?」

意味がわからない。と首を傾げる妻の頬に優しく唇を寄せると

耳元に「決して手に入れられない女なのだよ。あの娘は・・・」と囁いたのだった