21 // 思いの行き先

小喬は少しだけ満足した
本当は悲しさ半分といったところ


当然だろう

手に入れられない女と言った周瑜の本心は----

手に入れたいと言ったも同然


それでも私は報われている
他の誰よりも愛されている。そう思いたいのは幼くても本妻の意地
そして誰よりも周瑜を愛している自信があるからだろう。



望美に対して敵意は感じない
むしろ同情する


女でありながら愛される事を好まない
女でありながら女である事を拒んでいる------そんな感じがしたから



戦場に立っていても小喬や大喬は女だった


疲れたからだを癒してやりたい相手がいる
疲れた身体を癒してくれる相手がいる


それだけで幸せと思う。

以前なら考えもしない事-----それは望美に出会ったからこそ理解できた思いなのかもしれない。

そう考え目の前に穏やかに笑う大喬を盗み見た

日を増すごとに美しくなる姉は小喬の自慢の姉
そして憧れの存在でもある
そんな大喬は何を考え、どう思っているか知りたくなった。




「お姉ちゃんは孫策様を好き?」


「当然です。」

ただ一言。それだけでも十分だった
そうか------


それだけで良いんだ。と、思った。


「私さー。周瑜様と望美の仲を応援してやりたいんだ」



突然の告白に大喬は目を白黒させる
思わずプッと噴出した小喬に「何を馬鹿な事を」と大喬は笑ったが



「本気だよ」



そう告げた小喬の目は真剣だった。



また-------風がふく


そよそよと-----ふく



それは嵐の前触れか



まだ時は止まったまま。いつか動き出すときか゜来る
それは幸せを運ぶものなのか



混乱を招くものなのか------


今はまだ------誰もわからない