23 // 素直と卑屈

疲れた----


とにかく疲れた。
とにかく煩い男だ。
男の癖に-----とは言いたくないが今の望美の心境は


男の癖によく喋る男だ。だった・・・・・



何処から来た。自分でもよくわかりません----なんだそれ。

年は幾つだ。幾つと思います。わかんねーな----なら秘密です。

好きな男はいるか。当ててみて下さい。-----ひとつぐれー教えろよ。----やだ。


呉にずっと居るんだろ------それこそわかりません。くえねー女だな。----ありがとうございます。


と----様々な質問攻めにあい
適当に返事をして
適当にごまかした。



そろそろ仕事に戻ろうとした時-----明るく元気な声が聞こえてきた。
ん?と----思い耳を澄ませば思いがけない二人組みの会話が聞こえてきた。

盗み聞きは出来ない。と---思ったが二人の声は大きすぎた。


「孫策様ー」


「わりぃ」

孫策は小喬の顔を見ると手をあわせ苦笑いした。



「えーなんでぇー」

「だってよーアイツ何も答えねーんだぜ」


「えーなんでー」

「他のヤツに頼め。なっ」と孫策は笑う。



そーか。さっきの質問攻めは小喬が頼んだのか
しかし何故孫策なのだろう。
孫策は人選ミスだろう。と----思った。
それ以上に何故自分で聞いてこないのか。それも不思議だった。



仕方ない



無視してもいい些細な事
それでも小喬が何をしたいか----何をしりたがったいるのか
望美はそれを知りたかった。



「小喬」


「うわっ。の・・・望美」




「ごめんね。聞くつもりじゃなかったけど---二人の声は大きいから」と望美が言えば
小喬は気まずそうに笑った。

だが孫策は「良い機会じゃねーか」と笑い「じゃ俺はいくぜ」と二人を残し姿を消したのだった。



残された二人は気まずそうに笑う
笑顔の小喬も頬は引き攣っている



望美は覚悟を決め小喬に問う-------




「何が知りたいの?」と-----



「だって・・・・・だって」


「小喬」小喬の名を呼ぶその声は冷静だった
あまりにも冷静で小喬は泣けてきた


何故------なんでこんなに望美は冷静で大人なんだと----
どうしてこんなに冷たい顔が出来るのか----と


それは振り回され続けた過去のせい
自分は一人なんだ------と
自分の身は自分で守るしかないんだ----と




そう信じている望美だから-----


だが小喬はそれを知らない



望美の過去に何があったか
望美は何者なのか-------



だからこそ出てきた訴えは
「なんでよー。なんで望美はそんなに冷たいのー」で------




その言葉が望美をどんなに傷つけ
どんなに孤独にさせるか



小喬は知らない。




それでも望美は「ごめんね」と-----
そして泣き続ける小喬をそっと抱きしめ優しく背中を撫でていた