24 // 仕方ない事

泣いた--------泣いた-----望美も泣いた



声はださず
涙も流さず------涙した


小喬は不安なんだろう
自分と周瑜の関係が気にかかるのだろう
望美はそう思っていた


事実そうだ
だが小喬は周瑜のためなら何でもする。それ位周瑜を信じ愛していた
それが何に結びつくか望美は感じ取っていなかった



引き攣る頬は涙が乾いたから
小喬は切なげに笑う


「どうして」


望美は周瑜様に冷たいの
どうして皆に心を開かないの-------そう聞きたかった


だが望美の顔は其れを望んでいない
全てを拒否するような顔が怖く


そして辛かった。



「帰ろう」


そう言って繋がれた手は冷たく思わず払いのけそうになったが小さく震える望美の手は
確りと小喬の手を握り締め


「ごめんね-----こんな私で」と言われれば何も言えず



だまって歩くしか出来なかったのだ。


「宴・・・・・」


「えっ?」


「今日は宴があるんだよ」


「そう」

「望美も来るよね」


「私は関係ないから」

「何でよっ。だって望美のための宴なんだよ」



きっと睨む其の顔は真剣だった。
「ごめん」


「何でそうなの・・・何でよ」



「ごめんね----」



何を言ってもごめんとしか言わない
私はそんな言葉が聞きたいわけじゃない

「もう良い。望美なんて大嫌い」



振り払われた手
去っていく背


ああ----また一人-------
でも仕方ないよね。


私はあの時全てを失い全てを見捨てたのだから




望美は過去を思い出す
何故忘れていたのかわからない
あんなにも苦しく

あんなにも辛い恋をしたのに--------と。



「知盛----私も死にたかった----」
そう呟いた望美の声は薄雲に覆われた空へと消え
残されたのは涙を流す望美の姿だけだった。