26 // 秘める
宴------
懐かしいな・・・・と思った
以前皆と飲んだ夜
未成年だしと----遠慮していた望美に弁慶やヒノエが酒をすすめる
もちろん断ったが二人に敵うはずもなく
翌日は二日酔い初体験。
「みんなどうしてるかな」
ついつい呟いてしまうのは未練があるから
皆の元に戻りたいから------
知盛の存在が確かにあったあの頃に戻りたいから
「望美様」
「はい」
「これを」
望美付きになった女官が衣装を手にやってきた。
気の毒だな。
こんな愛想もない私に付き従う彼女
そう思って何度か孫堅に必要ないからと----自分の事は自分で出来るからと----相談した
それでも彼女は「私は望美様のお世話がしたいのです」と泣いて訴えてきた
名は蝶蘭
美しい名前に負けることなく心も見目も美しい
何も語らずとも何時も望美の側に居て優しく微笑んでいてくれる
蝶蘭が居て良かった。今は、そう思う
「必要ないのにな」
望美が唯一自分に戻れる時があるとしたら蝶蘭と居る時だろう
いつも大人びた口調と表情で一線を引いたような望美が自分だけには少女に戻ることを知っている
そんな望美が可愛くて----
そんな望美を見ている事が切なくて
「どうして望美様は自分を隠そうとなさるのですか」と聞いてみた
だが望美は
「これが私なんだよ」と----柔らかく笑うだけで
それが望美の悲鳴にも見えて蝶蘭は守りたい
望美様を守れるのは私だけなんだ。と-----思い
どんな時も望美から目を離すことなく
常に側に従えていたのだった。
「行きたくない」
「子供みたいな事言わないでください」
「子供だもん」
「ふふっ。本当こんなに大きな子供仕方ないですね」と蝶蘭が抱きしめると望美は
「ごめんね。我がまま言って」と鼻をならした
「いいんですよ。私はいつも望美様の味方ですから」
「大好きだよ。」
「でも----宴には」
「わかってる。これ着るね」と、望美は深いため息をついて衣装を手にとった。
するすると衣がすべる音
露出された肌には大きな傷
背中を斜めに横切る傷は刃物で受けたものだろう
痛くないか・・・と聞けば
これは私の大切な思いでだから平気。と望美は笑った
「お綺麗ですよ。髪を結いますね」
大人びた衣装にあうよう化粧を施し
髪も結う。
全てが終わった望美は誰にも負けないくらいの美を放っていた。
「変だよね。似合うはずないのに」と口を尖らせ文句を言う望美に
そっと紅を滑らせる
「お似合いですよ。さっ皆さんお待ちしてます」と望美を急がせた蝶蘭は
扉の向こうの物音に気づき
「お入り下さい」と声をかけ扉を開ける
そして-------
そこには赤の衣装に身を包んだ陸遜が満面笑みで
「素晴らしいですね」と美しく着飾った望美を興味深げに見つめていた
懐かしいな・・・・と思った
以前皆と飲んだ夜
未成年だしと----遠慮していた望美に弁慶やヒノエが酒をすすめる
もちろん断ったが二人に敵うはずもなく
翌日は二日酔い初体験。
「みんなどうしてるかな」
ついつい呟いてしまうのは未練があるから
皆の元に戻りたいから------
知盛の存在が確かにあったあの頃に戻りたいから
「望美様」
「はい」
「これを」
望美付きになった女官が衣装を手にやってきた。
気の毒だな。
こんな愛想もない私に付き従う彼女
そう思って何度か孫堅に必要ないからと----自分の事は自分で出来るからと----相談した
それでも彼女は「私は望美様のお世話がしたいのです」と泣いて訴えてきた
名は蝶蘭
美しい名前に負けることなく心も見目も美しい
何も語らずとも何時も望美の側に居て優しく微笑んでいてくれる
蝶蘭が居て良かった。今は、そう思う
「必要ないのにな」
望美が唯一自分に戻れる時があるとしたら蝶蘭と居る時だろう
いつも大人びた口調と表情で一線を引いたような望美が自分だけには少女に戻ることを知っている
そんな望美が可愛くて----
そんな望美を見ている事が切なくて
「どうして望美様は自分を隠そうとなさるのですか」と聞いてみた
だが望美は
「これが私なんだよ」と----柔らかく笑うだけで
それが望美の悲鳴にも見えて蝶蘭は守りたい
望美様を守れるのは私だけなんだ。と-----思い
どんな時も望美から目を離すことなく
常に側に従えていたのだった。
「行きたくない」
「子供みたいな事言わないでください」
「子供だもん」
「ふふっ。本当こんなに大きな子供仕方ないですね」と蝶蘭が抱きしめると望美は
「ごめんね。我がまま言って」と鼻をならした
「いいんですよ。私はいつも望美様の味方ですから」
「大好きだよ。」
「でも----宴には」
「わかってる。これ着るね」と、望美は深いため息をついて衣装を手にとった。
するすると衣がすべる音
露出された肌には大きな傷
背中を斜めに横切る傷は刃物で受けたものだろう
痛くないか・・・と聞けば
これは私の大切な思いでだから平気。と望美は笑った
「お綺麗ですよ。髪を結いますね」
大人びた衣装にあうよう化粧を施し
髪も結う。
全てが終わった望美は誰にも負けないくらいの美を放っていた。
「変だよね。似合うはずないのに」と口を尖らせ文句を言う望美に
そっと紅を滑らせる
「お似合いですよ。さっ皆さんお待ちしてます」と望美を急がせた蝶蘭は
扉の向こうの物音に気づき
「お入り下さい」と声をかけ扉を開ける
そして-------
そこには赤の衣装に身を包んだ陸遜が満面笑みで
「素晴らしいですね」と美しく着飾った望美を興味深げに見つめていた