28 // 氷

助けたい----
守りたい。そう思う陸遜が居る


近寄らないで----
一人にして----そう思う女がいる


望美は何も言わず----ただ歩く


望美の横に並び策を練る
だが解決策など何も浮かばない
当然だ-------


根本的に足りないのだ
情報が-----



だが今の望美にそれを聞くことは出来ない



仕方ない---時期を待ちましょう。と陸遜は結論付けた


「始まってるようですね」


「-----そうですね」


「そんなに嫌ですか?」


「見世物になるのはね----」と望美は答える




「随分と卑屈な考え方をされますね」
「これが私だし。」と笑う望美に顔は悲しげだった



「行きましょう」


今度は払いのけられなかった手は確りと望美の手を包み込む


小さい手だ-----
柔らかく美しい手-----





しっとりとした感触
吸い付くような感触に陸遜は眩暈さえ感じた



興味があった
望美という女に------どこから現れたかわからない女
特に何も語らず人を引き付ける


美しさでなく人徳だと思った。
だが放つ言葉は冷たく

それでも時折見せる笑みは心を穏やかにさせてくれる
不思議な女。



何を考え何を思っているか
其れを知りたく周瑜の執務室に通った。だが-----日を重ねるごとに頑なな態度になる望美



暫く間を置こう。と----通うのやめた
そして----偶然耳にした「大嫌い」---と叫ぶ小喬の声


陸遜は言う

「-----私は・・・いえ僕は君に興味があります。呉の軍師でなく男として」と----



一瞬視線が絡み合った


だが望美は
「----ごめんなさい」と



「つまらない事に頭を使わないで下さい。いつかは消える存在です」と-----




悲しげに答えるだけだった。