31 // 嫉妬

馬鹿みたいだと思う感情
しかし抑えようがない。


これは間違いなく嫉妬だ----


凌統は小喬と望美の関係を羨ましいと思った。
女相手に馬鹿な感情
それでも望美が一番最初に心開く人間は自分であって欲しい。と----思っていた。


二人の姿を見れば心通い合ったように見える
間違いないだろう。


自分も望美がしりたいと----
自分に凌統という男を知ってほしい。と願う



だが其れを正直に表す事が出来ないのが凌統なのだ



「悔しい---」
ふと聞こえて声に耳を傾ける


「お前も行けば良いだろう」
「嫌」

「なーに言ってんだ。私も仲間に入れてっ行けば良いだろーが」と孫策が笑う
それでも尚香は
「嫌」を繰り返し「悔しい」と何度ももらす


「困った娘だな」と言う孫堅も顔を複雑な笑みを浮かべている


「全くあの姫さんは何人の人間を虜にしたんだろーね」---と呟く声は誰にも聞こえないが
嫉妬を露にした其の表情は隠し様がなかった。




「お前もか------」ぽつり呟いた周泰の声は大きくはない
それでも凌統の心に深く入り込んできた





初めて知った嫉妬という感情
女を自分だけのものにしたいと思う感情


その全てを自分のものに---と願う思い


凌統は何かを決心したような顔をすると
「あんたは敵にならないで下さいよ」と周泰に笑いかける



そして----酔いの回った頭を覚ますべく水を口に含み
「さて----敵陣に突っ込みますか」と笑いゆっくりと立ち上がったのだった。