04 // 名前の意味・・・

なんとなく理解した

ここが何処なのか
理解して又流されたのだと悲しくなった


私の居場所は何処なんだろう


現代でもなければ八葉と共に戦った場所でもなかったのだろうか



頑張って平定させれば救われる
全てが元に戻るのだと信じていた私は何てバカなんだろう



と・・・・






流れた涙には気づかず歯を食いしばり虎を従えている男に視線を移した
頬が緩んでいるように見えるのは気のせいか・・・



男達がコソコソと耳打ちしている様子が苛立たしかった
拳を作り柔らかな皮膚に爪を食い込ませ必死に冷静になろうとした





「女。名は」



人に尋ねる前に・・・と言いたかったが命が惜しい
私は生きて皆の元に戻るのだから・・・と考える望美が悔しげな顔をして


「春日望美」と答えると「可笑しな名だな」と男が笑う



大切な両親につけられた名
今の望美にとって唯一の真実とも言える名を可笑しいと言われ



何かがプツリと切れた



「両親から頂いた名。あなた方がどんなに偉い方か知りませんが両親を侮辱するのは許せません」




それは神子としての威厳と誇りを持った不思議な声だった

辺りがざわめく
無礼者。と、剣を振り上げ望美に向かってこようとした男を片手で制すると男は

「ふむ。それは失礼した」と侘びを入れる





あっけない


もっと他にないのか。と、言いたくなるほど簡素な侘び
それでも望美は許せた



それは男の気さくな笑顔のせいだったのかもしれない。