06 // この恐怖は何なのか・・・

逃げたはずだった・・・
それなのに何故こんな事に



今望美は周瑜の執務室で過ごしている



「これを・・・」


「はい」


ただ時が流れるのをじっと待つ

有難い事に周瑜の執務室には何人もの文官や軍師の卵達が何人も訪れる
そのおかげで二人きりで過ごす時間は少なく


会話が成り立たなくとも時が過ぎれば望美は周瑜から逃げ出す事が出来るのだ


あの知盛とあった時でさえ怖いと感じたことはなかった
それなのに何故こんなにも・・・・


不思議だった。



孫堅は「この娘はお前に任せる」と周瑜に言った。
周瑜は「私でなくとも・・・・」と渋い顔をしたが「他に誰が居る。甘寧にでも任せるか」


・・・と、にやりと笑う


周瑜は「それならば私が・・・・」と了承した



イヤイヤながら・・・・なのはわかった
嫌なのは私もだ。
この美しい男の人は怖い・・・


この人と時を過ごすのは勘弁だ・・・・と叫びたかった



だが唇は開かず
ふるふると震える身体を隣に居た男がそっと支えてくれた。



男は「どうしたんだ」と聞いてきたが理解出来ないのは望美も同じ


ただ「何でもない・・・」と小さく呟くのが精一杯だったのだ