〜布団はがし〜  
来てたんですね?と、優しく微笑むのは弟の銀


その笑顔につられて微笑んだ望美だが
余りにも綺麗な笑顔に


負けた・・・と自信をなくし
ついついため息が漏れてしまう



「どうしました?兄が何かしましたか?」
心配そうに問う銀に悪気はないのだが



した・・・にはした

だが・・・


嫌々ではないし・・・
何とも答えようのない望美に出来ることと言えば

とりあえず作り笑い



だが、そんな笑顔を見た銀は


「仕方ない人だ・・・」と呟き


「僕がきちんと言っておきます」と望美に笑顔を見せ


その発言を聞いた望美は何を言うんだ?と思わず逆に聞きたくなったが・・・


「止めておけ・・・知盛が傷つくだけだ」といきなり入ってきた将臣にそれを阻まれ・・・



「アイツにもプライドはあるからな・・・」とやけに静かな声が


余程深刻な悩みなんだろうと銀を不安にさせ



「何があったんですか?僕では力になれませんか?」と楽しい食卓の場を混乱へと導いていた



「いや銀さん。あの・・・誤解だって」


「何だ?あいつ・・・あの時間で五回か・・・早過ぎないか?」と呟く将臣は冗談なのか?

本気で心配しているのか?


それが本気に心配していたとしても今の望美にその誤解を解く気力はなかった



肩を落とし・・・「もう良いよ・・・」と背を向けた望美に



「兄を起こしてきてくれますか?」と言った銀は多分気を利かせたのだろう。



ニヤッと笑って望美の背を押した将臣は

「アイツにもう一度チャンスをやれよ」と言い銀に頭を小突かれ苦笑いしたが・・・トボトボと歩く望美を見て


とうとう我慢出来なくなったのか



大声で笑い「わりい。からかい過ぎた」と望美に手を合わせていた



本来なら殴っていたはず
だが今日は朝から気力、体力を削り過ぎ疲れ果てていた



手を上にあげるとプラプラと振り「良いよ。気にしてない」と笑った望美の向かった先は


まだいい気で寝ている知盛の元だった

「入るよー」
まず返事は返ってこない・・・とわかっているが一応は声をかける
案の定すやすやといい気で寝ている我が男を見下ろして「チッ」と舌打ちした望美は、まじまじと知盛の顔を見つめ



「いい男なんだよね・・・顔だけ」とつい呟きため息をついた


悪い奴ではない事はわかってる
本心から嫌な男だと思っていたら望美も知盛とは付き合ってないだろうが



なんせ、初めての出会いから突然キスしてきた知盛は


「お前、今日から俺のもの」と当然の顔で常識では考えられないような、
告白なのか・・・脅迫なのか・・・ただの冷やかしなのか?
わからないような告白をしてきた男




気づいた時には知盛に抱かれていたという・・・何とも情けない出会いに、始まりだったたな・・・と苦笑いした望美は



日ごろの恨みだと言わんばかりに布団を剥ぎ取り


知盛を足でゲシゲシと蹴りつけ


「コラッ起きろ!!煩悩の塊」と怒鳴りつけている




・・・・・・おいおい・・・



様子を見に来ていた将臣は隣で青くなっている銀を気遣い



「夢だ夢・・・気にするな」と銀の背を押し


「夢・・・ですよね。・・・・望美さん・・・・」と弱々しく呟く銀を気の毒に思いながらも、望美の勇姿には笑いを堪えれなかった





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